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つぶやき

2025年 / 8月8日

8月 園長のつぶやき

夏になると、研修に参加する機会が増えます。今年もまた、心に残る素敵な学びに出会いました。株式会社YAMAP(ヤマップ)の創業者であり、養老孟司さんとの対話をまとめた書籍『こどもを野に放て』を出版された春山慶彦氏の講演です。最近登山を趣味にしている私にとって、YAMAPは欠かせないアプリのひとつ。電波の届かない山中でも現在地を把握できるその技術は、自然の中で安心して冒険できる力強い味方です。

春山氏は、起業家でありながら教育への深い関心を持ち、「自然経験こそ最上の教育であり、自然は子どもが育つための最高の学びの場である」と語られました。現代社会は「人間のルール」に溢れており、学校がさらにルールを教えるのはバランスを欠く。むしろ、学校は自然や「人間のルールではない世界」と子どもたちをつなぐ場であるべきだと提唱されました。この言葉に、私は深く共感しました。園での日々を振り返ると、子どもたちが自然の中で見せる表情や行動には、教科書では得られない学びが詰まっています。

AIの登場により、「知性」の定義が変化しています。知識や暗記の価値が相対的に低下し、これからの教育に求められるのは、

感覚・感性:気持ちいい、ワクワクするなど自分の気持ちを捉える力

身体性:歩く、歌う、踊る、描くといった身体を通した表現や活動

モチベーション・衝動:「自分はこうしたい」という自分の内側から湧き出る思い

これらはAIには代替できない、人間らしさそのもの。幼児教育の現場でも、「主体性」や「自ら課題を見つけ、解決する力」を育む環境づくりが、ますます重要になっていくと感じました。

春山氏は「外の世界を変えるより、自分の内側を整えることが大切」と語られました。朝の散歩、肌感覚を研ぎ澄ますお風呂やサウナ、そして命がワクワクすることを習慣にする。子どもたちに「大人になるって楽しいよ」と背中で伝えるために、まず私たち大人が感性を磨き、自然とつながる時間を大切にしたい。そんな思いを胸に、今日も園庭で子どもたちと風を感じています。