

2025年 / 6月9日
6月 園長のつぶやき
九州もいよいよ梅雨入りしました。夏に向けて子どもたちが植えた畑の野菜も、たくさんの天の恵みを受けて、大きく育つことでしょう。
大人は梅雨のイメージがあまり良くないことが多いようです。傘をさす手間や、洗濯物が乾かないなど、どうしても不便さに目が行きがちです。しかし、子どもたちはそんなことを気にすることなく、雨を存分に楽しんでいます。今朝の当園時のある男の子は「園長先生!雨のシャワーだよー」と元気よく雨の中登園してきました。子どもたちの感性は大人の忘れてしまった感性を思い出させてくれます。雨が傘にあたる「ぽつん」、水たまりを跳ねる「ぴちゃぴちゃ」音ひとつとっても雨の日ならではの楽しみを見つける天才です。
私自身、実は子どもの頃は雨に濡れることが嫌いでした。育てられ方なのか、性格なのか、濡れることを避けるばかりでした。確かに雨に濡れると体温が奪われ、冷えてしまい風邪をひきやすくなります。でも、すぐに着替えたり、体を拭いたりすれば問題ない。むしろ、感受性豊かなこの時期だからこそ、雨を全身で感じる経験がどれほど貴重だったのか、大人になってようやく気がつきました。この気づきを、今の子どもたちにも伝えたいと思っています。現在、牛津こどもの森では傘の紛失トラブルを防ぐため、持ち帰りをお願いしていますが、園用の傘を用意し、雨の日のお散歩を楽しめる環境を整えています。
ところで、『おじさんのかさ』という絵本の中には「雨がふったらポンポロロン、雨がふったらピッチャンチャン」というフレーズが出てきます。これはオノマトペ(擬声語を意味するフランス語)であり、音や様子を簡潔に、情景を感情的に描き出せる表現です。そして、外国語と比べても、これほど多くのオノマトペが使われているのは日本くらいだと言われています。雨の降り方ひとつとっても「ぽつり」「ぱらぱら」「ざーざー」と、状況を的確に表す言葉が豊富です。一つひとつに歴史や由来があり、とても興味深いものです。
梅雨に入り、外に出られない日が増えますが、牛津こどもの森にはオノマトペを使った絵本がたくさんあります。雨の日こそ、日本語の豊かさを楽しむ絶好の機会です。ぜひ、ご家庭でも子どもたちと一緒に日本語表現の奥深さを「ドキドキ」「わくわく」感じながら、雨の日を楽しんでみてはいかがでしょうか?


