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つぶやき

2025年 / 3月25日

3月 園長のつぶやき

マシュマロテストというテストをご存知でしょうか。心理学や保育の現場でよく話題に上がる、実際に行われた実験です。4歳の子どもをある部屋の一室に呼びます。机と椅子があり、椅子に座るよう言い、机の上にはマシュマロが1個置いてある皿があります。そして、実験者が次のように言います。「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢していたら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間にそれを食べたら、2つ目はなしだよ」。と。そうして2個目のマシュマロを手に入れたこと、1個目しか食べられなかった子どものその後の成長を比べた実験です。将来のより大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力が大事だという話でよく使われます。しかし近年、当初の実験目的や、自制心が大事であるという単純な結果に留まらないのではないか、と再注目されています。

その一つが、このマシュマロテストの結果は環境に大きく影響を受けるというものです。例えばその子どもが普段生きる環境が、明日食べ物があるかどうかわからないような場合は、今貰える報酬を確実にもらう方が合理的です。逆に、十分に食べ物もあり待っていれば必ずいいことがあると信じることができる環境で生活していれば、子どもは待つことができるのではないか、ということです。マシュマロを2つ食べられなかった子どもは単に自制心が足りないという問題ではなく、ある意味では2つ目を待つよりも理性的であり、育った環境によってそうせざるを得なかったとも言えます。

長らくこのマシュマロテストの当初の実験目的を信じて、自制心が大事だとこのつぶやきにも昔書いたことがあります。しかしこの話を聞いて、子どもを育てる上で、時代や社会背景を含めた生活環境、保育環境がとても大きいことを改めて感じました。安心して2つ目のマシュマロを待てるような環境を子ども達に提供できているのかを日々内省し、子どもにとって最善の環境を目指していきたいと思います。